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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
「このように生まれついてしもうたのも何かの因縁であろう。ならば、その因縁から逃れるためには御仏に縋るしかない。私にはもう二度と、憂き世での幸せなど願えるものではないし、また願うべきでもないのじゃ」
 泉水は淋しげな微笑を浮かべた。
「姫さま」
 時橋は最早、何を言うすべもない。ただ、やるせなさそうな表情で泉水を見つめていただけであった。
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