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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 案の定、夢五郎は急に黙り込んだ。いつも賑やかな男には珍しく、思い詰めたようなまなざしで庭を見つめている。
「京都に行っていた」
 ややあって、ポツリと呟く。
「ご実家の方にお帰りになっていたのですか」
 年末年始は生家の方で過ごしたというのならば、父頼継からの金封をことづかってきたのだろう。
「やはり、暮れやお正月はお家で過ごされるのですね」
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