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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 何故か今日の夢五郎の態度は不自然だ。泉水と視線を合わせないようにしているようだ。今もまだ庭に所在なげな視線を向けたままであった。
「京に戻らねばならなくなった」
 「え」と、思わず夢五郎の顔を見る。
 愕きというよりも衝撃を感じていた。
 夢五郎がやっと泉水を見た。その双眸が揺れていた。
「弟が亡くなってね」
「―」
 泉水は返す言葉がなかった。
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