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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
「夢五郎さん、やはり、あなたはお家に戻るべきお方だと私は思います。多分、庵主さまもあなたが京にお帰りになって、綾小路家をお継ぎになられることをお望みでいらっしゃるでしょう」
夢五郎の早世した弟には気の毒だけれど、これも御仏のお導きのようにも泉水には思える。一度は家を捨て、綾小路家を捨てたはずの夢五郎は、やはり結局は家に戻るべき運命を背負っていたのだ。そして、たとえ口には出さずども、光照も胸の内では、どれほどそれを望んでいることか。
夢五郎の早世した弟には気の毒だけれど、これも御仏のお導きのようにも泉水には思える。一度は家を捨て、綾小路家を捨てたはずの夢五郎は、やはり結局は家に戻るべき運命を背負っていたのだ。そして、たとえ口には出さずども、光照も胸の内では、どれほどそれを望んでいることか。