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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
家臣の報告を受けた泰雅は自ら馬に乗り、単身、その女を見にいった。既にその女が泉水であることは報告からも疑いようはなかったものの、この眼で見るまでは信じられなかった。泉水に情夫がいるらしい―と聞いて、到底平静ではいられなかった。ひと月ぶりに泉水を見た泰雅は嫉妬と激情に駆られ、泉水を手込めにしてしまった。そのときは、ひとたびは江戸に一人戻ったが、いずれ近い中に迎えを遣わして泉水を江戸に連れ帰るつもりでいた。