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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
 そのときの泰雅は所詮、言い逃れだと本気にもしなかったが、もしかしたら、あの言葉は真実だったのかもしれない。さもなければ、泉水が一人で村を出るはずがない。必ず男と二人で出てゆくに違いない。
 泉水という女は、そういう女のはずであった。たとえ、どれほど泰雅を嫌っていたとしても、良人のある身で他の男と深間になったりするような女ではない。それに、泉水は男と膚を合わせるのを病的なまでに嫌がっていた。
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