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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
 低い声で呟くと、ふいに気が狂ったように笑い出した。気違いじみた笑い声がしじまに溶けてゆく。子どもを取り上げられたときの泉水の心を思うと、愉快になってくる。
―俺を裏切った女に己れの罪深さを思い知らせてやるのだ。
 そう思うと、ひとりでに笑いが込み上げてくる。自分がどれほどの罪を犯したかを今こそ、あの女―殺してやりたいほど愛しく、憎らしい女に悟らせてやる。
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