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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
「私は苦しうございます。黎次郎を取り上げられ、私はどうして生きてゆけば良いのでしょうか。私は愚かな母にございます。我と我が身から黎次郎を手放しておきながら、今になって、このような醜い煩悩に囚われるとは情けなきことにございます。最早、この現し世には私の居場所はどこにもございません。黎次郎は―あの子は、私にとっては最後の希望でございました。その希望を失った今、私にはもうこの世にいささかの未練もございまぬ。