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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
男はゆっくりと周囲を見回した。この辺りには山桜が群生しているようだ。今はまだ弥生の半ばとて桜は咲いてはおらぬが、あと半月も経てば、この界隈は一面薄紅色に染まるだろう。その頃に来るのも悪くはないかもしれぬ―なぞと考えつつ、更に視線をめぐらせる。
桜の開花にはまだ間があったけれど、男がたった今、愛馬をつないだ杏子の花は今が満開であった。淡紅色の愛らしい花を一杯につけたその姿は何故か、男の知るたった一人の女を思い出させる。
桜の開花にはまだ間があったけれど、男がたった今、愛馬をつないだ杏子の花は今が満開であった。淡紅色の愛らしい花を一杯につけたその姿は何故か、男の知るたった一人の女を思い出させる。