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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
視線が吸い寄せられるように動く。まなざしとまなざしが交わったその一瞬、尼の顔から微笑みが消える。烈しい驚愕がすっかり大人びた顔にひろがる。
尼の顔色が変わった。それだけは昔と変わらぬ黒い大きな瞳を見開き、まるで凍りついたように泰雅を見ている。その見開かれた双眸には強い怯えの色が浮かんでいた。
随分と愕いたらしく、尼の白い手から籠が落ちる。大切そうに両手で抱えていた籠が音を立てて転がり、中に入っていた山菜が一面に散らばった。
尼の顔色が変わった。それだけは昔と変わらぬ黒い大きな瞳を見開き、まるで凍りついたように泰雅を見ている。その見開かれた双眸には強い怯えの色が浮かんでいた。
随分と愕いたらしく、尼の白い手から籠が落ちる。大切そうに両手で抱えていた籠が音を立てて転がり、中に入っていた山菜が一面に散らばった。