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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
榊原家に古くから仕える重臣たちの中にも、泰雅のあまりに酒浸りの暮らしぶりに露骨に眉をひそめていた。いつしか、家臣たちの心は泰雅から離れ、いまだ幼き世継黎次郎に期待をかけるようになった。
対面を申し込んできた脇坂に逢うには逢ったものの、泉水は最後までひと言も発しなかった。脇坂が泉水との約束を律儀に守り、黎次郎の養育ひと筋に打ち込んできたことは判ったし、そのことに感謝はしたものの、今はこの屋敷内の人々とは誰であれ話をする気にはならなかった。
対面を申し込んできた脇坂に逢うには逢ったものの、泉水は最後までひと言も発しなかった。脇坂が泉水との約束を律儀に守り、黎次郎の養育ひと筋に打ち込んできたことは判ったし、そのことに感謝はしたものの、今はこの屋敷内の人々とは誰であれ話をする気にはならなかった。