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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 互いの息遣いさえ聞こえてきそうなほど近くから、何の香であろうか、かぐわしい香りが漂う。泉水の寝衣に焚きしめられた香に違いないが、その香りがあたかも泉水の身体そのものから発するもののように思えてしまう。
 早く、一刻も早くあのやわらかな身体を抱きしめ、あの得も言われぬ香りの中に溺れたい。泰雅の心は逸る。
 なおも手を伸ばして引き寄せようとする泰雅から、泉水はあっさりと身をかわす。
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