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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 泰雅が口の端を引き上げる。何とも陰惨な笑いを浮かべたその容貌は、なまじ整っているだけに凄みさえある。泰雅は下卑た笑いを刻んでいた。その顔には、見下したような表情があからさまに浮かんでいる。
「いいえ、脅しなどではございませぬ」
 泉水は艶な微笑を浮かべたまま、きっぱりと言った。
 寝衣の懐からすっと懐剣を取り出す。
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