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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
それでもなお、泰雅は泉水への恋慕の情を抑えられなかった。泉水さえ戻ると言えば、快く許し江戸に連れ帰ろうと思っていたのだ。だが、泉水は、あの女は帰らないと言ったばかりか、情夫を庇った。憤懣やる方ない泰雅に、それで泰雅の気が済むならばと、あっさりと生命を差し出したのである。
―もとより、この生命一つなぞ惜しいとは思うてはおりませぬ。私をお斬りになられることで殿のお気がお済みになるのであれば、どうぞひと想いにお斬りなされませ。
そう言って、細首を差し伸べたのだ。
―もとより、この生命一つなぞ惜しいとは思うてはおりませぬ。私をお斬りになられることで殿のお気がお済みになるのであれば、どうぞひと想いにお斬りなされませ。
そう言って、細首を差し伸べたのだ。