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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
それでもなお、虚無感の中に烈しく燃え盛る恋慕の想いがある。泉水がかいま見せた氷のような美貌―その冷えたまなざしすら、図らずも泰雅を今また新たに魅了したのである。無垢な少女から今、氷の華とも呼ぶべき臈長けた女へと見事に生まれ変わった泉水から、泰雅はますます眼が離せなくなった。
これほどまでに頑なに拒絶され、嫌われながら、自分がまだ泉水に未練を抱いていることを知り、泰雅は茫然とする。
行灯の火がジと嫌な音を立てて、燃え尽きた。ふいに室内が闇一色に塗り込められる。
これほどまでに頑なに拒絶され、嫌われながら、自分がまだ泉水に未練を抱いていることを知り、泰雅は茫然とする。
行灯の火がジと嫌な音を立てて、燃え尽きた。ふいに室内が闇一色に塗り込められる。