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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
それが池に落ちた(事は事故として処理された)とされる日の夕刻、奥向きの空き部屋で若い男の声と女の悲鳴や助けを求める声が聞こえていたというのだ。その他にも帯を解く際の衣擦れの音などが洩れていたらしいから、その中で何が行われていたかは想像はできる。結局、若い腰元の死は不注意で池に落ちたゆえと発表され、その死の真相はいまだに謎だ。
そんな話を、お付きの腰元の誰かがしていたのを改めて思い出し、泉水の膚が粟立った。