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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
廊下からはひと部屋を隔てた居間にまでは、なかなか物音や人声は聞こえてこないのだ。少しの間があって、更に今度は大きな悲鳴が聞こえた。次いで複数の女たちの緊迫した声が続く。荒々しい脚音が入り乱れる。
泉水は、閉じていた眼をゆっくりと開く。つと背後を振り返ると、〝美倻(みや)〟と腰元の名を呼ぶ。榊原の屋敷に戻ってきてから新たに泉水付きとなった腰元で、歳は十八になる。少々喋り過ぎの感は否めないが、朗らかでよく気のつく娘だ。
泉水は、閉じていた眼をゆっくりと開く。つと背後を振り返ると、〝美倻(みや)〟と腰元の名を呼ぶ。榊原の屋敷に戻ってきてから新たに泉水付きとなった腰元で、歳は十八になる。少々喋り過ぎの感は否めないが、朗らかでよく気のつく娘だ。