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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
あの年端もゆかぬ娘には、まだ未来があった。もしかしたら、惚れた男や許婚者がいたかもしれない。その未来を、夢を、希望をむざと潰えさせてしまった。
娘の助けを求めていた悲壮な声、涙を一杯に溜めていた眼が灼きついて離れない。助けを求めるように差し出されたあの手を、自分は無情にも振り切った。
鬼や夜叉でなければ、到底できないことだ。
泉水はうなだれ、罪の意識に苛まれた。
耳奥では、哀れな娘の悲鳴が途絶えることなく何度もこだましていた。
娘の助けを求めていた悲壮な声、涙を一杯に溜めていた眼が灼きついて離れない。助けを求めるように差し出されたあの手を、自分は無情にも振り切った。
鬼や夜叉でなければ、到底できないことだ。
泉水はうなだれ、罪の意識に苛まれた。
耳奥では、哀れな娘の悲鳴が途絶えることなく何度もこだましていた。