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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
泉水と千紗の容貌は酷似しているという。ゆえに、いまだに泉水を忘れ得ぬ泰雅が千紗を傍に置き、愛玩していると専らの噂であった。それを聞いた時、泉水は愕然とした。
たとえ意に添わぬ出逢いだとしても、千紗が泰雅を女として愛するようになれば、側室となった千紗も幾ばくかは報われるに相違ない。自身が泰雅の執拗な愛撫がいやで逃げ出しておきながら、そのような身勝手なことを願えるものではないと判ってはいても、千紗のためにも、それがいちばん良いことなのだと考えたりもした。
たとえ意に添わぬ出逢いだとしても、千紗が泰雅を女として愛するようになれば、側室となった千紗も幾ばくかは報われるに相違ない。自身が泰雅の執拗な愛撫がいやで逃げ出しておきながら、そのような身勝手なことを願えるものではないと判ってはいても、千紗のためにも、それがいちばん良いことなのだと考えたりもした。