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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
それにしても、あの白い花と蒼い蝶が見えるときに限って、泉水は死への誘惑に駆り立てられるらしい。榊原の屋敷であの光景を見たときは、無念の死を遂げた娘の見せた幻かと思ったものの、どうやら、それは無関係だったようだ。
恐らくは、泉水自身の心の弱さ―隙があのような白昼夢を見せるに相違ない。だが、我が身の心の奥底深くに、ひそかな死への渇望が憧れにも似た形で存在することに、泉水は、たまらない恐怖を憶えずにはおられなかった。
恐らくは、泉水自身の心の弱さ―隙があのような白昼夢を見せるに相違ない。だが、我が身の心の奥底深くに、ひそかな死への渇望が憧れにも似た形で存在することに、泉水は、たまらない恐怖を憶えずにはおられなかった。