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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
「そのようなものは所詮は建前じゃ。どこの世に良人が夜な夜な出かけてゆくというのに、平気な妻がいるものか。しかも今夜の殿を見るがよい。突如として呼び出しが来たかと思うたら、顔色変えて飛んで出てゆかれた。これがただ事だと思えるはずもなかろう、時橋」
「ですから、よくよくのご事情がおありなのでは」
 時橋がそれでも取りなそうとすると、泉水は苦笑いを刻んだ。
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