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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー

嫁ぐことに決めたのだと一途に言い募る娘に、源太夫はため息をついた。可愛らしげな外見に似合わぬ頑固な娘なのだ。年ごろになっても屋敷の奥深くで琴や鼓を相手にしているよりは、庭で樹登りをしている方が相に合っているというほどの姫である。せめて綺麗に装いしとやかにでもしていれば良いものを、艶やかな髪を束ね、赤い小袖に紫の袴をまとい、庭で木刀を振り回しているから、物の怪憑きの上に“お転婆姫”なぞと迷惑な呼び名を奉られる羽目になる。

