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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
覚悟していたはずだった。いつかは泰雅に飽きられ、捨てられるのだと心のどこかでいつも不安に怯えていた。まさか、こうまでその日が早く訪れるとは流石に考えてはいなかったが。泰雅と初めて結ばれてから、まだふた月と経ってはないのだ。泰雅と二人、咲き誇る芍薬の花を眺めながら、このひとと生きてゆくのだと惚れた男の傍にいられる幸せを噛みしめたのは四月の末のことだった―。
泉水は低声で呟いてみた。
「今までと同じなだけじゃない」