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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
その夜の夕飯は泉水の当番であった。大根の煮物と焼き魚、飯と泉水の手料理が飯台に並び、いつものように向かい合って食べ、片付けを終えた後、泉水は内職にかかり、兵庫之助は依頼された書状を書くために文机に向かう。泉水は内職の方にひと段落ついたゆえ、兵庫之助の袴の綻びを直していた。一刻ほどそれぞれの仕事に精を出した頃、泉水が傍らの兵庫之助に遠慮がちに声をかけた。
「兵庫之助さま、お疲れではないですか? お茶でも淹れましょうか」
「兵庫之助さま、お疲れではないですか? お茶でも淹れましょうか」