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第46章 《巻の四―儚い恋―》

　泉水が差し出した袴を、兵庫之助が受け取ろうと手を伸ばした。その刹那のこと、兵庫之助の手と泉水の手がかすかに触れ合った。それは、指先と指先がかすめ合っただけにすぎなかったのだが―、互いにあたかも雷に打たれたかのような衝撃が走った。
　兵庫之助の指先が触れた部分が熱い。
　泉水は弾かれたように兵庫之助から離れた。指先がまるで火傷したかのように熱を帯びている。