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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
夕刻、外出していた兵庫之助が朝顔の鉢を買い求めてきた。その日、兵庫之助は町人町の筆屋に新しい筆を探しにいった。兵庫之助が使う筆はすべてその店で買うそうで、値段の割には、なかなか良い品を置いているのだと、兵庫之助が話して聞かせてくれた。その帰り道に朝顔売りとすれ違い、買ったという。
朝顔売りといえば、江戸の夏の風物詩の一つでもあった。泉水は兵庫之助が持ち帰った鉢を表の軒下に置き、早速、水をやった。