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第46章 《巻の四―儚い恋―》

　それは全く根拠のない不安ではあったけれど、何か泉水を急き立てるように、追い立てるように背後から迫ってくるのだった。
　いつまでも離れようとしない泉水の背をを、兵庫之助が軽く叩いた。
「腹が減っちまった。そろそろ飯にしねえか」
「済みません。私ったら、はしたない」
　泉水は慌てて兵庫之助から離れた。
　泉水は少女のように頬を染めている。
　そんな妻を兵庫之助は、優しいまなざしで見つめていた。