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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
しかし、現在は素行を改め、秋月家を出て町外れの裏店で暮らしていた。代書屋をしながら、真面目に堅気の暮らしをしていた。そこに、泉水が押しかけ女房という形で居候するようになったのである。元々、泉水と兵庫之助は以前からの知り合いでもあり、兵庫之助は泉水にひそかに想いを寄せていた。榊原家を出た泉水が一人で和泉橋のたもとで思い惑っていたところを、兵庫之助が声をかけたのだ。実に六年ぶりの再会であった。それがきっかけで、二人は同棲を始め、ゆっくりと信頼と愛情を育んでいったのだ。