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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
 やがて、静かにほのかに熱を帯びた唇が降りてきて、泉水の唇をしっとりと塞いだ。三月(みつき)以上も共に暮らしていながら、兵庫之助が泉水に触れたのは、これが二度めであった。最初は二ヶ月月ほど前、恋情に耐えかねた兵庫之助が泉水を組み敷こうとしたのだ。が、その時、泉水は泣いて嫌がった。そして、兵庫之助に初めて我が身の秘密―男を身体的に受け入れられないことを告げた。
 以来、兵庫之助は一度たりとも泉水に手を伸ばしてきたことはない。
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