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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
 冷やかすように言って木戸を出てゆく女房の太り肉(じし)の後ろ姿をぼんやりと見送っていると、兵庫之助が肩をすくめた。
「相も変わらず、賑やかだな」
「じゃあ、行ってくる」
 背を向けて歩いてゆく兵庫之助の姿を初秋の太陽が照らし出している。まだ夏を思わせる容赦ない陽差しではあったけれど、どこか真夏とは微妙に違うのは、やはり忍び込む秋の気配のせいであったろうか。
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