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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
何故、こんなに不安なのか自分でも判らない。咄嗟に、ここのところ毎夜のように見る夢を思い出し、泉水はますます不安をかき立てられた。
あの夢を見るようになったのは、数日前からのことだ。何かに追いかけられる夢―、振り返っても、その正体は判じ得なかった。大きな闇が凝ったような怪物、黒い巨大な魔物だとしか言いようがなかった。その黒い怪物に追いかけられ、呑み込まれる夢に、もうかれこれ数日続けて、うなされている。