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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
 兵庫之助の無事な姿を見れば、また仕事もはかどるだろう。午前中にできなかった分は夜なべしてでも取り戻せば良い。そう思ってみたが、胸の不安は消えず、逆に暗雲が大きくなってゆくように膨らんでいった。
 午前中が過ぎ、昼になっても、兵庫之助は戻らなかった。確かに家を出るときは、昼には帰ると言ったはずだ。昼飯の時間を過ぎ、秋の陽が傾く頃になっても、まだ帰らない。
 我が身の得体の知れぬ不安が現実のものとなったのだ。泉水は慄然とした。
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