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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
「何分、秋月さまを殺した相手の男はたいそう身分の良い、若い武士だったそうで、その職人はすぐには動きもできなかったそうですよ。助けに飛び出していきゃア、自分までばっさりと殺られることは判ってるから、物陰に隠れて震えて事の次第を見ているしかなかったって寸法で。職人が駆け寄ったときには、旦那は既に事切れてたそうです。それで、職人は慌てて逃げ帰った。何しろ、俺と似たり寄ったりの歳の親父で、嫁入り前の娘との二人暮らしの桶職人です。