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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
 今朝もずっと篠突く雨が降り続けていたが、昼前になって漸く止んだ。今はどんよりとした、いかにも梅雨といった風情の空が低く垂れ込めている。その鬱々とした灰色の空の下で、紫陽花が鞠のように丸く固まって星形の花を咲かせているのが何とも愛らしく、心が救われるようであった。すっきりとしているのに、全体からほのかな色香を滲ませているような不思議な花だ。さわやかな色気を漂わせる妙齢の女のようでもある。
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