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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
 勘七が出ていったときのまま、表の戸が開いている。泉水は立ち上がり、三和土に降りた。戸を閉めようとした時、ふと夕焼け空が眼に入った。すじ状の雲が幾重にも重なり、たなびいて、それらが淡い紫色に染まっていた。刻々と色を変え様を変え、眺めていても、飽きることがない。雲は菫色と茜色に染め分けられていて、次第に茜色から菫色の部分がひろがってゆく。
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