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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
 顔を覗き込んで諭すと、黎次郎は健気にも頷いた。その大きな眼が涙で一杯になっている。折角逢えた母親と離れがたいその気持ちは泉水とて同じであった。
「また、お逢いして下さいますか?」
 涙を溢れさせながら、黎次郎は問う。
「もちろんですとも。同じ屋敷に暮らしているのです。互いに逢う気になれば、いつでも逢えますよ」
「じゃあ、約束して下さい」
 黎次郎が小さな手を差し出す。
 泉水も胸が熱くなった。
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