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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
泉水は立ち上がった。泰雅は隣でぐっすりと寝入っているようだ。音を立てないように細心の注意を払い、寝所を出てゆく。ここは泉水の寝間ではなく、奥向きの当主専用の寝所である。かつて褥を共にする夜は、大抵は泉水の寝所を泰雅が訪れていたが、今は別に用意されている寝所を使うことが多い。ここは当主が奥に渡った際に女と夜を過ごすためのもので、正室だけでなく、側室と褥を共にするときも使う。従って、お千紗と褥を共にした際もこの寝所を使ったはずだ。