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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
「襖を―閉めて下りませぬか。このままでは、あまりに明るうて」
泉水が甘えた声を出す。泰雅は笑いながら襖を閉めた。途端に部屋が薄い闇で満たされる。枕許の行灯の火影が広い寝所の内をほの暗く照らし出していた。
「泉水、待ちかねたぞ」
泰雅が待つこと久しからずと、手を伸ばしてきた。逞しい手が泉水の帯をするすると解く。その隙に、泉水が懐から何かを取り出して褥の下に押し込んだのにも一向に気付いていない。