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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
「兵庫之助さまは何も拘わりはなかったのです。すべては、私のせいでした。私が勝手にこの屋敷を出て、あの方の許へと走ったのです。あの方を恨むのは筋違いというものです」
「愚かな。―まだ申すか。あの男とそちが夫婦だなぞとたわけたことを幾ら申し立てたとて、世間は認めぬわ。有り体に言えば、秋月は俺の女房を寝取った。姦通、不義密通がどのような重い罪か、そちだとて存じておろう。俺は妻を奪われた良人として、当然のことをしたまで。誰にとやかく言われる筋合いはない」
「愚かな。―まだ申すか。あの男とそちが夫婦だなぞとたわけたことを幾ら申し立てたとて、世間は認めぬわ。有り体に言えば、秋月は俺の女房を寝取った。姦通、不義密通がどのような重い罪か、そちだとて存じておろう。俺は妻を奪われた良人として、当然のことをしたまで。誰にとやかく言われる筋合いはない」