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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
「あなたさまは既に事切れた兵庫之助さまをこれでもかと言わんばかりに切り刻んだ。どうして、そこまでなさる必要があったのでしょう? 兵庫之助さまが亡くなられたと判った時点で、刃をおさめられるべきではなかったのですか」
 その言葉に、泰雅の端整な顔が歪んだ。
「俺はお前ら二人を未来永劫、許さぬ。いや、正確には俺からお前を奪った、お前の心を盗んだあいつを絶対に許せぬ」
 泰雅が血を吐くような声で言った。
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