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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
 それなのに、泉水は泰雅が何も知らぬと思い、淫らにも褥へと誘い、泰雅の腕の中で悦びの声を洩らしていたのだ。何という屈辱、何という空しさ―。
 今すぐにこの場で死んでしまいたいと思うほどの恥ずかしさであった。
 泉水の眼に大粒の涙が溢れ、頬を流れ落ちる。泣くまいと思っても、涙は後から後から堰を切ったように溢れてくる。
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