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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
 ふと襖に手をかけた時、視界の片隅を何か蒼いものがひらひらとよぎるのを見た。
「―蝶?」
 思わず叫んでしまい、泰雅の眠りを妨げてはと狼狽えて口許を押さえる。振り向いて庭を凝視しても、ただ清かな白い花が秋風に揺れるばかり、蒼い蝶など、どこにも見当たりはしない。
「気のせいであろう」
―私ったら、どうかしている。
 泉水は呟くと、小さく首を振った。
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