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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
しかし、おせんには事の次第を話した上で、兵庫之助のことは無念だろうが諦めるようにと因果を含めて説得した。たとえ人殺しであっても、相手が直参では町方の力は到底及ばない。しかも、おせんは亭主持ちの身で勝手に家を出て情人(いろ)と同棲していた。それは即ち不義密通、姦淫の罪であり、事が公になれば、泰雅の行いは妻を寝取った男を成敗したと正当化して認められ、逆におせんが姦婦として罪に問われることになりかねない。