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第55章 第一話　【春雷】

―あの年頃の子どもが熱を出して寝込むのは満更、珍しいことではござらぬ。かく申すそれがしも幼少の砌はしょっ中熱を出しては父や母をいたく心配させたものでござる。祐一郎どのも長ずるにつれ、壮健におなりになられましょう。むしろ、困るのは当家の姫の方でしてな、女だてらに木登りをしたり、木刀を振り回したと、まるで男の子のようにござります。