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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第55章 第一話 【春雷】
 鮮やかに染め上がった庭の紅葉が秋の陽を受けて照り映えていた。時折、風もないのに、赤子の手のような葉がはらはらと散り零れる。秋の澄んだ陽差しを浴びて座る祐一郎の横顔には、どこか儚さが漂っていた。祐一郎自身は確かにその場所に存在しているというのに、その姿が秋の陽に透けて儚く溶けていってしまうのではないかと思えるほどに。
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