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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
「まあ、こうなることは時間の問題であったのやもしれぬ。心配することはない、時橋。私はこんな日がいずれは来るとは思うておった。人の心はうつろい易きもの。ましてや、我が殿は名うての女好きでいらせられる。大体、殿が私のような女子に眼を向けられたこと自体が端から奇跡のようなものだったのじゃ。大方は美しい花々に飽きて、いっとき少し変わった野の花をお摘みになられたのであろう。だが、ほんのお戯れでお摘みになるのであれば、いっそのこと、そっと野に置いておいて下されば良いものを」