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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第55章 第一話 【春雷】
―姫さま、雷さまが鳴っているときは〝くわばら、くわばら〟と三回心の中でお唱えするのです。さすれば、雷さまはけして姫さまに悪さはしませぬゆえ。
―本当? 本当にそう言えば、雷さまは悪さをしないの?
 あどけない声と表情で見上げる泉水を、時橋は抱きしめて頬ずりしてくれた。そうやって時橋の温かな胸に抱かれていると、心から安心できた。
 雷鳴は次第に近づいてくるようだ。
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