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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第57章 《壱》
 それでも、維助は十分満足だった。毎日、ほんの言葉のやりとりだけではあっても、惚れた女の身近にいてその顔を見ることができる。男としてこの世に生きること二十二年、それが維助の初恋であった。
 これもまた、おきぬから聞いた話だが、おせんはもう三十になる。見た目は随分と若く見えるゆえ、維助は自分とさほどに変わらないと思っていたのだけれど、実はおせんの方が八つも年上であった。
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