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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第58章 《弐》
「ね、おっかさん、あたしのおとっつぁんは、どうしていないの? 浅ちゃんだって、虎松ちゃんだって、ちゃんとおとっつぁんがいるのに」
 もう一度同じ問いを繰り返す娘を、おせんは哀しげな瞳で見つめた。複雑な感情がその美しい眼(まなこ)を通り過ぎてゆく。
「おとっつぁんは、お空にいて、ずっと私たちのことを見守ってくれているの。だから、お征が泣いてばかりいたら、おとっつぁんもきっと哀しむわよ」
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