この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第58章 《弐》
お征があどけない声で応える。
「今日ね、浅ちゃんに父なしっ子って苛められてた時、向かいのおじちゃんが助けてくれたの。あのおじちゃん、いつもはむっつりと黙(だんま)りで何だか怖い人のように思ってたけど、本当は良い人なのかもしれないよ」
―おいおい、その言い方はねえだろう。
維助は心の中で抗議する。自分でもけして愛想が良いとはいえないとは思うが、幼い子に〝怖い人〟と評されたのは流石にこたえる。しかも、惚れた女の前では、あまり言われたくはない科白だ。
「今日ね、浅ちゃんに父なしっ子って苛められてた時、向かいのおじちゃんが助けてくれたの。あのおじちゃん、いつもはむっつりと黙(だんま)りで何だか怖い人のように思ってたけど、本当は良い人なのかもしれないよ」
―おいおい、その言い方はねえだろう。
維助は心の中で抗議する。自分でもけして愛想が良いとはいえないとは思うが、幼い子に〝怖い人〟と評されたのは流石にこたえる。しかも、惚れた女の前では、あまり言われたくはない科白だ。